アプト式…それは当時にしては凄い発明だったのだろう。
だけどラックを噛み締めながら登るそれはもう時代に合わなくなってしまったみたいだ。
一年一年、季節が変わるごとに周りはどんどん成長していった。俺だって峠専用のEF63を作って貰ったりして時代に追いつこうと努力した。だけどどれだけ頑張っても結局時代に取り残された。
いまでもあそこに行く度に良いことも、悪いことも全て思い出す。500人の犠牲のもとに開業した碓氷線、隧道中の煤煙、橋梁から見る絶景、電化が決定したときの喜び…
変わり果ててしまったここだけどけど、だけど本質はあの時と何も変わってなくって、もう何も見えなくなってしまったけど全部心に焼き付いてるよ。