「莉桜!」




後ろの方から聞こえたのは、優しい優しい日向くんの声。



「…っ…!」



ど、どうしよう…。



思い切り袖で涙を拭って、私は振り返って笑って見せる。




「日向くん。」



そこにはやっぱり日向くんが立っていて、けれどあの優しい笑顔はそこにはなかった。



息を切らして、歪んだ瞳で私を見つめていた。



「日向…くん…?」



「嘘だから!」



「え?」



なにが…?



「彼女できたとか…嘘だから……。」



「え!?」




嘘…?




「なん…で…」



「り、莉桜が悪い!」



「えぇ?!」



私…?



ちょっと待って…。



ついていけないよ…。



私のせい?



私何か…


悪いことしたのかな…?




考えてみても分からなくて、思い当たるとしたら私が日向くんを好きということ。



私が日向くんを好きだから…



もしかして諦めさせるため…に…?



じわじわと瞳から涙が溢れそうになる。




「ごめ…なさっ…」




「俺を見てよ!」




え…。




さえぎられた言葉にかぶせられたのは理解できない言葉。




どうゆう……こと…?