この日はテスト期間の半ばで、

そろそろベクトルやばくない?

という明らかに目に見えている討論をした挙げ句、文系も理系も範囲が同じような内容だったということもあり放課後に学校に残って勉強をすることになった。

そして勿論、できない奴が揃ったところで何の足しにもならず、職員室に行って教科担当の先生に質問をすることになった。

こうなる事までは予想していたし、予想通りだった。

予想と違ったことがあるとすれば、

教科担当の先生がいない

ということだ。

「数学の先生なら誰でも良いので教えてください」

と言ったときに来てくれたのが彼、桜井先生だった。
そしてこれが私と先生のはじめての出会いだった。