─ガラガラッ
「わ、イケメン。優香イケメンだよ!」
美雨が元から丸くて大きい目をさらに見開き言う。
確かに、鼻は鼻筋が通っていて高いし、
少し目尻の上がったキリッとした大きな目は全てを見透かすかのような眼力がある。
「だね。」
「どーしよ。化粧もっとしてくればよかった…」
といいながら、
ポケットから取り出したミルキーピンクの
グロスを厚めの唇に塗っている。
この前出たばかりの新色だ。
美雨は新しいものや期間限定商品にすごく弱い。
結構あれいい値段だったような…
そのグロスをしっかりのせると、
美雨は女優の石原さとみのように見える。
美雨はとても愛らしい顔をしている。
ピンクと白が似合うThe 女の子って感じ。
化粧なんかしなくても可愛いのに…
「ケンタッキー州から来ました。
橘理久です。よろしくお願いします」
へぇー…え?
ケンタッキー州?アメリカの?
「優香、すごいね!帰国子女!
わー、かっこ良すぎる…どうしよう…」
もうその時には美雨の目はハートマークになっていた。
「はい、よろしくー!
はい、拍手ー!」
─パチパチパチパチッ
担任の声で一斉におこる拍手の音。
主に女子の大きな拍手で転入生を迎えた。
まさか平和な日々が終わるなんて考えもせずに…
