や「着いた、ここだ。」



す「ありがとうございます…。」




私が連れてこられたのは一見本当に普通の二階建のビルみたいな…


マンション?かな




す「こんなところに?」


や「そうそう。」



やっぱこの人怪しい気がする

まぁ家に帰っても何だし一応ついてくか…。





マンションは不思議なぐらい静かで私とやっさんの足音しか聞こえない。





や「えーっと…」





マンションの呼び出しみたいなのでロックを解除すると自分の手をモニターに合わせるやっさん。





す「指紋認証?」



や「手相認証ってのかな、ここには三つのロックがあるからそれをしないと中には入れないんだ。」







“ 認証しました”


とピピッと音がするとようやくドアが開く。




中に入るとそれなりにきれいなエントランス。




エントランスの先にあるドアの前に立つと16桁の暗号を入力する。



そうすると、



「あ、やっさんですか!?どうぞ!」



と声が聞こえる。




そうするとまたドアが開いて



そのあとの長い廊下を歩くとやっと小さめのドアが現れる。






す「まだあるの…。」



や「あぁ厳重にしないといけねぇからさ。」




また10桁の暗号を入れるとカチッと音がして鍵穴が出てくる。




それにやっさんが鍵を差し込むと…




や「開いた、いくぞ。」





中からはさっきとは打って変わって騒がしい音や話し声、わらい声が聞こえる。




や「入んないねぇのか?」



す「っ、ううん。入ります。」






慌ててドアの中に入る。






「あ、やっさんこんばんわ〜!」




中にいる人はほとんど男の人で



大きい部屋があったりしてオフィスみたいになっている。






「あれ、そのコは?」




や「拾ってきたんだよ〜、な?」



す「あ、はい。こんばんは。」



「おぉ可愛いー!!ついに女の子か〜。」




チャラ目の男の人はニコニコ笑ってる。


うん、すんごい怖い…。


なんだろ、威圧感と雰囲気がたまらなくやばいニオイがする。





や「こいつは楓、チャラい目ためだからすぐ覚えられるはず。」




ら「よろしくお願いします。」




楓「おう、よろしくな〜!!」





肩をバンバン叩かれて、もう怖すぎるー!!


なんなの、此処は…


本当に機密部隊の本部なの?





や「楓、やめてやれ怖がってる。それに任務いくんだろ?」



楓「やばい、そうだった!!」




慌てて走り出す楓さん。



任務…あの人も殺し屋やるのかな?






歩き出す楓さんについていって二階の大きな部屋に入る。





や「ここはオアシスっていうんだ。ダサい名前だけどいいところだ。」



す「オアシス…。」





もうパニクってるからダサいとか考えられない〜。





中に入るとモノクロで統一された部屋でソファーが置いてあって奥にはキッチンがある。




もちろんオフィスみたいにもなってるけど、結構散らかっててビールの空き缶とかスルメとか置いてある。





「あれ、やすさん?」





キッチンから出てきた女の人。


めっちゃ美人…!!






や「おう、由良。救急箱出してくれねぇか?」





由良と呼ばれた人はちらっと私を見ると何かを察したように救急箱を持ってくる。





由「はい。」




や「サンキュ。すみれ、そこ座れって。」



す「はい。」




ソファーに座ってパーカーを脱ぐと





由「この娘…もしかして。」




や「あぁ、暴力振るわれてんだ。」




やっさんが私の腕を触ると、怖くないはずなのにビクッと反応してしまう。





由「大丈夫、やすさんは悪い人じゃない。それに処置もうまいから、すぐに治る。」




由良さんは隣に座って優しく言ってくれる。





す「…ありがとうございます。」





なんでだろ?声が震えてる。






す「いっ!」




消毒液が染みてるからでもないのに



涙が溢れてくる。






す「よしよし!!もう平気だから。」




ぎゅっと抱きしめられると



今までの緊張と不安が消えたのか


涙が止まらない。








由「私もおんなじ様な経験をした、辛いよね。誰にも言えないで痣を隠そうと毎日必死になって、誰も信じられない。


でもやすさんに会えて幸運だと思う。此処はきっとすみれにとってかけがえのない場所になるはずだから。


安心していいんだよ?」






頷くのが精一杯だった。




今まで我慢してたものも全部吐き出した。













す「え、あれ?」





気がついたらいつのまにか寝てたのか



腕には包帯に顔には湿布、背中にも違和感がある。






す「いたた…。」






むくっと起き上がると





由「おはよう。」






由良さんがにっこり笑って紅茶を差し出してくる。









す「あ、すみません!」



由「いいよ全然。やすさん帰っちゃったけど、これからよろしくね?」








あれ、私いつの間にかこの仲間になる事になってた。








す「あの、でも仲間になるか、まだ決めてないし…。殺し屋なんて出来るかわかんないっ。」






す「さくらには殺し屋以外の仕事も沢山ある、まだ時間があるから適性を考えてからでいいよ。」





す「そうですか…。」





由「て事でどうぞよろしく!!」



す「はい!」








由良さんの手を握りかえす。





これからどうなるか皆目検討つかないけど





頑張ってみよう。