私の腕の傷を確認すると、被っていたパーカーをそっと剥がす。




す「ッ。」




「これって。」



す「びっくりしたでしょ?殴られたの。」



その時、私の顔は殴られた跡で腫れ上がって青アザだらけ。



「もしかして暴力振るわれてる?家族に。」



す「そう…よっぽど嫌われてるみたい。」



そう言って笑うと彼も悲しそうに笑った。




「じゃーいくか!」



す「へっ?どこに?」



「病院!」



いきなりそんな事言われても…




「どうせ、家帰らないつもりなんだろ?病院くらい良くねぇか?」



す「そ、そうだけど。お金持ってないし、今ごろ病院なんて開いてない。」




彼に付いてっていいのか、これからどうなるのか、色々不安で心配そうに尋ねると



「大丈夫!おじさんに任せろって。」



ニッと笑って頭をポンポンされる。



さ「なっ、もう…。分かった、着いてけばいいんでしょ!」



「そうそう。」




距離を取りながらおっさんの後ろをついていく。




夜の街はネオンで明るく輝いていて、なんだか不思議な気分だった。





ブォン




おじさんが乗っているオープンカーの助手席に乗り込み


夜風に当たると不安がいつの間にか消えていて安心する。




す「おじさん、名前は?」


「俺?矢本泰之。防衛庁の職員してんだよ。」


す「へ〜、やっさんか!」


や「おお、やっさんでいい。」


す「防衛庁…って事はお役人か。ってかさ、私をどうする気?病院連れってその後は警察?」



警察だけは嫌…



そう言おうとしたけど病院まで連れてってもらってそこまでワガママは言えないから、ぐっと飲み込む。




や「警察なんかに行ったってしゃーねぇから…仲間に入れるよ、彼奴らの。」



す「仲間…?あいつら?」



不思議そうに私が首を傾げるとやっさんはまあニッを笑って



「防衛庁機密精鋭部隊

桜、だよ。」




何それ…?怪しすぎ。




す「さくら?聞いた事ないけど。それって本当に防衛庁の管轄?というか、やっさん本当に防衛庁のお役人なの?」




流石に怪しいと思って疑惑を目線でやっさんをみると、そりゃそうだよな、って顔をして私にぽいっと資料を渡してくる。



す「桜とは裏の社会の情報収集などを行う、青年の部隊の事で……通称殺し屋とも、言われ…。」



殺し屋



というワードにひっかかる。


だって


殺し屋なんて存在するはずがない、そう思ってたから。





や「別に、お嬢さんに殺し屋やってほしい訳じゃねぇけど、まあ他に仕事あるし。

人には適性ってもんがあるからな…。だけど、一回あいつらに会ってみたらいいと思って。

あいつらも、お嬢さんと同じ様な境遇だから。」





す「そうなの?」



や「あぁ。両親からの暴力どころか捨てられた奴、戸籍がない、色々あるけど、皆いいやつだから。


というか、いまから行く病院ってそこだからな。」



す「え!!病院もある…どういう事?」



また私がビックリした様な顔でやっさんをみる。



や「まぁ、行けばわかるって!」


す「えーッ!」