つり革に届かない私は、その辺の手すりにつかまった。

「...あ」

思わず声が漏れたけど、確かにいた。

あれは、七瀬くんだ

スマホを弄りながら壁に寄りかかってる。

その姿も様になってる


私が、ずーーーっと見てたせいか視線に気づきこちらを見て、驚いた様子。

ま、電車の登下校者なんて一駅目で降りるよね、普通。

一応頭を下げて続きの本をカバンから出して読む。





二駅目で停車した時だった。

止まってるとこをいいことに私の方まで歩いてくる七瀬くん

「よ。」

私はイヤホンを外した

「どうもです」ニコッ

「ん。どっか用事?」

「いえ、家がこっちなんで」

「まじ、俺も」

「あ、津香沙ちゃんから聞きました」

「津香沙...?
あー高峰...だっけ?」

「あ、はい」

「確かにあいつ中学一緒だったわ」

「らしいですね」

「......立花も四駅目なわけ?」

「はい。そーなんです」

「じゃ、中学は『坂谷(さかたに)中』
か、『久賀(くが)中』だった?」

四駅目の近くにある中学でその二つの中学が基本だもんね。

「あ、いえ。
『神城寺(しんじょうじ)中』です。」

「え?!まじで!」

電車なのに超でかい声。

クールな七瀬くんには似合わない

「あ、悪い...そこってめちゃくちゃ頭いいとこだろ?中学受験あるとこ。
中高一貫の。」

「あ、はい。
ちなみに小学校は、坂谷小でしたよー」

「へー、まじかー
俺、神城寺行くつもりだったんだ。

でも、能力がある以上親にも医者にも危険だって言われて行けなかった。」