今日も、病室に入ると慧が無邪気に笑って迎えてくれた。


正直、授業どころではないぐらい朝から本当は慧に会いに来たい。


「慧、渡したいものがあるの」


「何?」

慧に差し出したのは手紙。


慧が手紙を受け取った後、


「これ、覚えてる?」


桜色の手紙を見せると、


「あ、これクリスマスにあげたやつ…」


慧は少し照れ臭そうにして、


「クリスマスに桜って思っただろ?」


おどけて聞いてきた。


「桜は…大切な思い出だもん」

慧は渡した手紙を見せて、


「これ、読んでいい?」


そう聞いてきた。


「私が帰ってからね」

目の前で読まれるのは恥ずかしい…


「手紙かぁ、嬉しいね。便箋、バスケットボール?」


「慧が早く良くなって、バスケしてるところが見たいなって…」

頷いて、慧を見た。