strange

慧は急にベッドから降りて跪いた。


「え?何…どうしたの?」

何が始まるのかと慌てる私の手をそっと握って、小さく咳払いをした。


「俺と、結婚して下さい」

…はい?

目をパチクリさせる私の隣にまた戻って、まっすぐ私を見て穏やかな声で話し出す。

「今すぐじゃないよ。でも、なるべく早く…結婚できたらなって。こんな16才の男が何言ってんだよって感じだけど…結婚を伸ばす理由がないぐらい、沙良なんだよ。俺にとってかけがえのない人は」

慧の言葉が軽い言葉じゃないこと、わかる。

私も同じ気持ちだから。

もう、失いたくない。

自分の人生の中、1分1秒と長く一緒にいたいんだ。


「だから、その時が来るまでに沙良を幸せにできる男になるから。最速で」


笑う慧の顔が今日もまた私に幸せをくれる。

「うん…私も、慧と同じ気持ちだよ。慧しかいない」


こんなにも大切だと思える人、こんなにも大切にしてくれる人。

他にいないもん。