strange

「あいつ、最近まで本当に中学生だったのかな」

慧がクスクス笑う。


「あきってなんだか時々お兄ちゃんじゃないかと思う時あるんだよね」

私も笑った。


「知らない奴が見たら、そう思うかもな」

笑う慧をふくれっ面で見た。

「沙良ちゃん?怒んないで?機嫌直して」

顔を覗き込む慧が可愛くて愛おしい。

窓の外に目をやると、桜の木が葉っぱだけになっているのが見えた。


視線を感じて顔を上げると、慧が優しい顔で私を見てる。


「どうしたの?」

慧の手がそっと私の髪を撫でる。


「すごいね。髪の毛、光に当たると金髪じゃん…」

あ、これは初めて話した時の…

「え?ちょっと金髪って…これ地毛だし…」

あの時と同じように答えると、2人で顔を見合わせて笑った。


「沙良…俺、こんなだけどさ。沙良に心配かけて、寂しい思いをさせてしまって…だけど、俺は沙良以外ないって思うんだよ。沙良がずっと俺を呼んでくれてたから、戻ってこれたんだ」


呼んでた?


あきの中に慧を見ていたから…


「沙良、俺…頑張って早く退院して。もう沙良に寂しい思いを絶対させない。それで、またバスケもして沙良と色んなとこ行って…ずっと一緒にいたいんだ」


慧の言葉が私を優しく包んでいく。