ベッドに横たわる慧は、少し痩せて色白になってて…でも、慧だった。
私が、大好きな慧だった。
頭の手術後は、だいぶ回復して顔の傷は綺麗に治っている。
「慧…ごめん。ごめんね…」
慧の手を握りしめて、泣いた。
「沙良、ごめんな。寂しい怖い思いをさせてしまって…」
私は顔を横に振った。
「沙良、これ…」
慧の手には赤いネクタイが握りしめられている。
「それ…私、もらっていいの?」
涙が止まらない。
慧が喋ってる、動いてる。
夢みたい。
慧のお母さんの方を見ると、泣きながら頷いてくれた。
「ここでもらってくれなきゃ、恥ずかしいだろ」
小さな声で、慧は少し笑った。



