strange

「今…慧は?」

怖くて聞けなかったこと。

私が記憶をなくしている間、慧は…


現実は今、ここで起こっていること。

いつまでも、自分が作り出した世界では暮らしていけない。

逃げるな…
心を強く持って、私。

スカートをギュッと握った。

あきが口を開きかけた時…


「沙良!慧くんが…慧くんが…」


ママが駆け寄ってきた。

「慧…が、どうしたの?」

息が苦しなって、胸に震える手を当てた。


「目覚めたって…早く、早く用意しなさい」


「え…?」

慧…また、慧に会える。
慧に会えるんだ…

目が熱い。

涙が絞り出すようにこぼれた。

あきの顔も真っ赤になってる。


私達は泣きながらも病院へと急いだ。