「こんなことになって…沙良を泣かすから。俺、慧さんの代わりになろうって思って…それでもいいと思った。慧さんのことを思い出さなくていいって…でも、違うな。俺じゃダメだわ」

そんな顔しないで。

いつも自信満々でいてよ、あき。


あきに色んなものを背負わせてしまったんだと、思った。


あきをまっすぐ見て、そっと手を握った。

「あき、ありがとう。慧の代わりをさせてしまってごめん」

あきの長いまつげに涙の玉がついてる。

子どもの頃、よく見たけれど。

あきの泣き顏は久しぶりだ…

あの頃から変わらない。

「あきのこと、大切だよ。世界一の宝物だよ。何にも変えられない、あきの代わりは誰にもできないから」

あきは、一瞬合った目を逸らして小さく頷いた。