strange

私は取り乱して泣き叫んだ。

救急車に乗り込み、慧の手を握って名前を呼び続けた。

いつも力強い慧の手にはいつもの力はなかった。

ぐったりとした手はずっしりと重く、私は震えながらもその手を離すことはできなかった。

動いてよ…
目開けて…

お願い、慧…

「慧、慧…お願い…」

動かない慧の手を握って必死で祈った。


病院に着いて手術室へと入って行った慧に起こった現実を受け入れ切れずに、夢であって欲しいと願った。

朝に戻りたい。

私が遅れなければ…
あの時手を振らなければ…

今日会う約束をしなければ…

私が慧の彼女にならなければ…


私が慧を好きにならなければ…


私の後悔の渦は奥深く私を責め続けた。