教室でも、私の席から見える中庭の桜がもう次の季節へと向かおうとしているのが見えた。


ポケットから桜色の手紙を出して、また読み返す。


舞い散るような桜模様。


便箋に太陽の光を反射させてキラキラ光るのを見ていると、たまらなく苦しい気持ちになった。


右上がりの文字を、他の文字よりちょっと丁寧に書かれた私の名前を何度も何度も読み返す。


どうしてだか、この手紙が私をどうしようもないぐらい切なくさせる。


桜の木に目をやると、はらはらと舞い散る花びらが…


儚くて綺麗で…



あの桜の木の真下でもう一度見てみたい。

もう一度…


初めて見たときは、私は…私は…

モヤがかかる感覚にぎゅっと目を閉じた。


モヤがかかっている記憶の中に、みんなが守りたい秘密があるの?


知らなければならない…

突然立ち上がり授業を抜け出した。

先生の呼び止める声も聞こえない。