桜の花びらが慧の肩に落ちる。

「慧、花びら着いてるよ?」

そっと花びらを摘むと、慧が私の髪の毛に手を伸ばした。


「沙良もついてる…あ、ここにも」


少しくせ毛の背中までのびた私の髪の毛には、気づけばあちこちに花びらが絡んでいた。


「でも、逆におしゃれかも」

彩菜ちゃんが笑いながら取ってくれる。


風が吹いてまた桜の花びらが舞い散る。


「ああ、またいっぱいついちゃったね」

晶乃ちゃんが笑う。


なんてことない日常が、こんな風に素敵に映るのは桜のせいかな。