バシャァッッッ!!!
「きゃぁっっっ!」
「うわぁ…。雪ん子ちゃんかわいそぉ〜。それトイレの水じゃん。」
「あはは。雪ん子の雪解けだぁ!」
「優ちゃん。うっまいことゆう〜!」
「…んで…」
「え?…雪ん子がなんか言ってるよぉ〜?」
「聞こえな〜い。声ちっさ。あはは」
「なんで…私…なの?」
「はぁ?あんたさぁ、頼り無しキャラうっざいんだよ!」

壁に掛けてあったモップをとって私を殴ってくる。
彼女はクラス1の美人で、モテる「上条ひばり(kamijou)」
どこかの名門のお嬢様かなんかで、取り巻きが4人。
神崎璃奈(runa)、遠藤千佳(chika)斎藤秋香(akika)、当麻こまり(toma)。
通称、というか自称「ひばりFour! 」と呼んでいる。
男子ウケが良くても、裏表が激しい。
私みたいなのには裏、男子たちには表で接する。
「あんたさぁ‥キャラ作って何がいいわけ?ちょームカつくんだけどっ!」
ガラッッ
「それはお前もだろ?上条さん」
後ろのドアが開いて大人の声がした。
「っ!‥‥この声は‥‥雪原様!」
雪原李音(rion)。
私のお兄ちゃん。
私の通うセント・ブライアント学園の校医。
イケメンで、文武両道で、スタイルよくて、なおかつ紳士。
これ以上文句のつけようがないほどの完璧人間でなんでもそつなくこなしちゃう。
校内NO、1人気の講師。
上条さんいわく「Destiny Prince」(運命の王子様)らしい。よくわかんないけど…
「大丈夫か?美帆。」
「うん。ありがとお兄ちゃん。」

よしよし。と頭を撫でてくれるお兄ちゃんの手は温かった。
「雪原様っ!」
「うっさい上条、親に言うぞお前。娘さんがクラスメイトをいじめてましたって。」
「いやぁ!」
「上条は勉強、ダンス、全てで美帆に負けてるもんなぁ。」
「ゃ…やめてよ」
「ほとんど親の力だもんなぁ」
「やめてよお兄ちゃん!!
 もういいよ。庇ってくれてありがと。もう大丈夫だから。」
「…そっか。」

でも大丈夫じゃなかった。
その日からというもの、日に日にエスカレートしていく、いじめに耐えられなくなり不登校になった。
家に閉じこもって1日中ずっと勉強と、運動をしていた。私ゲーム持ってないから。
手紙類は全部お兄ちゃんが届けてくれたし、わからないところは全部お兄ちゃんに聞いた。
「わからないところが少ないから助かる」って言われて少しほっとした。
別にブラコンじゃないよ。うん。
出席日数とかセント・ブライアント学園では通じなくて全て成績。
もちろん運動面でも成績はつくけど、オリンピック選手の父親譲りの運動神経で難なくカバー。
謎だけど「スケート」もある。
でも飛べりゃよくない?うん。


ープロローグ〜いじめ〜ENDー