「ゴメンな……」

 先に重い口を開いたのは恭平の方だった。

 普段見ない、辛く、そして悲しげな顔。

「どうして謝るの……? 私のせいでこうなって、恭平にも辛い思いをさせてしまったのは、私なんだよ!?」

 私は恭平に謝られるのが辛くて、辛くて仕方がなかった。

 恭平が謝ることなんて、何一つないのに……。

 私は込み上げてくる思いを、押し殺すことなんて出来なかった。

 次から、次から溢れ出てくる悲しみの雫。

 私は車の揺れによる痛みなんて、全く感じなくなっていた。

 ううん、感じることが出来ないくらい、私は悲しみに暮れているんだ。

 信号が変わり、ゆっくりと車が停車したのと同時に彼は口を開く。

「オレが悪いんだ……。優しさと、甘さは違うのに、卯月に本気で怒って、タバコを止めさせられなかったオレに責任があるんだ……」

 恭平は鼻水を軽くすすり、瞳に光るものを浮かべながら続けて言う。

「……だから、そんなに悲しまないでくれ。卯月のそんな顔をオレは見たくないんだ」

「私が全て悪いんだよ? 恭平が何もかも抱え込むことなんてないの。それに――」