命の軌跡

「……どういうこと? 私何か変なこと言ったっけ?」

 私は首を傾げながら言い、自分の言動を思い返してみた。

 それでもやはり、恭平の言葉の意味が分からなかった。

 特に変なことは言った覚えが見当たらなかったから……。

「今何時だと思う?」

「ええっと……10時過ぎぐらいかな?」

 私が聞いたのに、聞き返されたことに少し戸惑いながら答えた。

 そう答えたのを聞いた彼は、くすりと笑った。

 何がそんなに可笑しいんだろう。

「オレが帰って来たのは、11時。で、今の時間は深夜2時だぞ!?」

「えっ!? もうそんな時間なの!?」

 私は驚きを隠せなかった。

 自分が寝ていた間に、そんなに時間が経っていたなんて、全く気付かなかったから。

「やっぱり時間、分かってなかったんだな。帰って来るの早かったね、って言われた時は焦ったよ」

 だから、恭平は笑っていたんだ……。

 そう思った瞬間、急に顔が熱くなってきた。

 今までの私の言動が、恥ずかしくて仕方なかったんだ。