命の軌跡

 私は部屋の明かりをつけて、直ぐさまに重たい荷物を下ろした。

 まるで、肩の荷を下ろしたかのように――。

 でも、大変なのはここからなのは、私でも重々承知している。

 赤ちゃんとの出会いが近づいてくる分だけ、激しい痛みも近づいてくる。

 どんなに辛くても、しんどくても、私は一人ではない……。

 痛みは分からないけど、恭平がいつでも傍にいてくれている。

 それだけが、私の心と体の支えになっていた。

 私は立つのがやっとの状態だったけど、恭平のために台所に立った。

 台所に立って、精一杯の愛情を注いだ料理を作った。

 もちろん、恭平の大好物の煮込みハンバーグを。

 そして、料理を机に並べ終えた後、私は今日一日で溜まりに溜まった疲れを取るために、布団の上でそっと瞼を閉じた。

 私は仮眠をとるつもりだった。

 それなのに、あれからどれくらいの時間が経ったんだろう……。

 料理にラップをかけるのを忘れてたまま、何時間も過ぎ去っていった。

 外はもうすでに深い闇になっていた。