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「ごめんね、君の気持ちには答えられないや」
泣きそうな顔をして向けられていた顔は、ごめんなさいと呟きどこかへ走って行った。
(初日からこれだと本当に疲れる)
「ヒノくんまた告白されてたって」
「らしいね、今日で3人目でしょ!?」
「でも、紳士で優しくてかっこいいよねー」
廊下で噂する声を気づかないフリ。
俺はいつもそうやって自分を繕ってきた。
そうでもしないといつでも蘇りそうだと感じた。
でも、もう思い出すなんて絶対にない。
楽しかったなんて言葉じゃ片付かない思い出は、邪魔でしかなかった。
何をしても引っ付いてあるくそれは、俺に無かったことにすると決心させるまで厄介だった、
桜なんて散るだけ。
雪と同じ。
またいつものように心の奥を無にして、嘘で塗り固められた自分を繕って過ごしていく。
これからも…ずっと。
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