_____________


「ごめんね、君の気持ちには答えられないや」

泣きそうな顔をして向けられていた顔は、ごめんなさいと呟きどこかへ走って行った。


(初日からこれだと本当に疲れる)


「ヒノくんまた告白されてたって」
「らしいね、今日で3人目でしょ!?」
「でも、紳士で優しくてかっこいいよねー」


廊下で噂する声を気づかないフリ。
俺はいつもそうやって自分を繕ってきた。

そうでもしないといつでも蘇りそうだと感じた。


でも、もう思い出すなんて絶対にない。

楽しかったなんて言葉じゃ片付かない思い出は、邪魔でしかなかった。

何をしても引っ付いてあるくそれは、俺に無かったことにすると決心させるまで厄介だった、


桜なんて散るだけ。
雪と同じ。


またいつものように心の奥を無にして、嘘で塗り固められた自分を繕って過ごしていく。

これからも…ずっと。


______________________