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この桜を見てあいつらは何を思うのだろう。


俺は一体いつまで過去に囚われるんだろう。



何年経っても消えない思いに嫌気がさしていた。

「タカヒロ?外になんかあんの?」

「…いや男だらけだなぁと」

「はあ?そりゃ男子校だかんな」

「…………」

逃げるように入学したこの男子校も
2年目ですっかり馴染んでいた。


嫌いな冬が通り過ぎ、春が来た。
それでも俺の心をこの桜が揺らす。



(……雪みたいだな)


ここまで来てしまうと後戻りが出来なくなると感じ、俺は考えるのをやめた。


それでも残るのはあいつの、あいつらの声。名前。


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胸に浮かんだその名は声にならないまま、
また俺の中に消えていった。


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