「あーおーい!」
高校に入って2年目の春。
クラス替えの掲示を見ていた私。
「ハル!今年も同じクラスだよ〜!」
「見た見た!よろしくねアオイ!」
向こうから走ってくる親友のハルと今年も同じクラスで安堵した。
ハルは、中学の頃からの付き合いで、
同じ部活で親同士も仲が良い大切な存在。
(本当、ハルがいてくれてよかった…)
桜が舞う。春の暖かさに包まれたいい日。
「桜綺麗だね〜!」
「そうだね!ピクニックでもしたいかも!」
教室から見える大きな桜の木を2人で見ていた。
「こうして見てると桜って雪みたいだよね」
「えっ?」
ハルの思いがけない言葉に少し驚いてしまった。
「だってさ、こうやって散ってるの見てると雪みたいじゃん!」
雪……
「…な、なんだそれー!単純すぎー!」
「えへへー!」
ハルが言った言葉は、私の心の中のあの頃を思い出させた。
7年も経ってるのに………
何年経っても忘れられないこの気持ちは、
雪のように積もり続けていた。
「アオイ?」
ふと、ハルの呼ぶ声で我に返った。
「あ、ごめん、始業式始まる?」
「大丈夫かー?そう!始まるから並べって!」
「あー、携帯置いてくる!先入ってて!」
制服のポケットに入ってた携帯を取り出して、カバンにしまうとき、ふと桜の木を見る。
「…3人とも元気かな……」
もう会うことがないとわかっているのに、
あの3人は元気かと気になるのは私の心はまだ整理できていないも同然だった。
あの頃に戻りたい。
何度そう思っても戻ることはできない。
春の桜を見れば見るほど私の心は切なく音を立ていた。