それから私は体育に出るために、一旦教室に戻った。

ーまたサボってたでしょ~先生呆れてたよ

と言ってくるのは幼なじみの安藤美保。

うっ、ばれてる。

ゴメンって言おうとしたら…「くっさ!また吸ってたの?」と言われた。

あらぁ~タバコまで臭うか…。

「てことは屋上だよね?保健室なら、吸えないもんね?」と美保は言ってくる。

私は頷いた。

「あんたの好きな体育だよ!急ご」って美保は相変わらずマイペースに私を振り回す。

私と美保は着替えてグランドに出た。

今日はマラソン…。

私は気合いをいれた。走るのは好きなんだ。

けど…美保は、「嫌だー」ってずっーと言ってる。

美保の得意分野は球技なんだ。

私は球技得意じゃない。チームプレーとか苦手だし…。

けど…美保は、上手くチームをまとめて引っ張ってる。

そーゆうとこかっこいいなあって実は思ってる。

本人には言わないけど。

美保はいつものように、始めに全力疾走し、すぐバテて保健室に逃げ込むように休みにいく。

ほぼ、マラソンの時は毎回…

中々斬新なサボり方だと思う。私みたいに堂々とサボるんじゃなくて、ちゃんとした言い訳を作ってからサボる…

私には真似できないな~

走り終えた私は、ふぅ~と一呼吸した。

そこにお疲れ様と現れたのは、同級生の男子、野田保。

保はバスケ部のエースで、美保の彼氏。

「またサボりに保健室行ったよ!」と私が言うと、「斬新なサボり方だよね~」と呑気なことを言う。

「大変でしょ?天然で可愛くて、モテるし…マイペース…」と私が言うと

「まぁね。けど、俺、そんな美保好きだから…」と保は笑っていた。

そっか…お互い想いあってるんだね。

いつか、私にもそんなふうに思える相手と出会えるのかな…

「じゃあ…俺、そろそろアイツ、迎えにいくから」と保は去っていった。

私は取り残されたー

チャイムがなり、私はさっさと着替えた。

昼からはだいたいバックレてる私。

お弁当を持ち歩きながらどこで食べようか悩んでいた。

「慶、一緒に食べよ?」と声をかけてくる美保。

「二人で食べたら?恋人のお食事混ざりたくないし…」と私は強めに言うと教室を出た。

向かう先は屋上。

天気のいい日はほとんど屋上で過ごしてる。

ガチャー今回は少しおとなしくドアを開けた。

すでに先客…しかもお弁当広げてた。

「お隣良いですか?」なんて言って私は彼の横に座った。

そう、彼は赤城。

「見るな!!」と赤城は言うとお弁当を隠した。

私が首をかしげてると、「…俺、自分で弁当作るんだよ!最近は…キャラ弁多くてな…」と笑う赤城はカッコいい。

運動神経よくて、喧嘩は強い。優しくて、男前、その上料理まで出来るなんて…ズルいよ。

私はなかば強引にお弁当を覗いてやった。

見事なキャラ弁…。クオリティの高さに思わず、体中に電気が走った。

「こう見えて、裁縫とかも得意よ?俺…」
なんて笑う赤城。

くそ、私完全に負けてる。

女の私より、女子力高いのか!?

「何?」と赤城が言う。

別に…と言いながら、私は横でお弁当を食べ始めた。

「なぁ、ヒマ?飯食ったらバックレよーぜ?」なんて急に不良っぽい言い方になった赤城。

「急に口調変わりましたね…」と私が言うと、

「素はこんなんなんだよ。元々。俺がおとなしいわけないじゃん?こう見えてもバリバリ現役不良だもんよ?」って。

嘘…!?まぁ確かに…No.1なんて言われてる位だからそれなりかとは思ってたけど…キャラ違いすぎじゃない?

「で?俺と一緒にバックレる気ないの?」と聞かれて、逆らえる気がしなかった私は

「良いですよ。どーせ、昼からは私もバックレてますし…」と言うと、

「そうなら、さっさと飯食え。で帰る支度してこい!!靴箱で待ってる…」と赤城は言い残すと、早々とお弁当を食べて去っていった。