魔導師伝説

その子は竜騎に近づいてきて、


「一緒に部屋まで戻りますか?」

と敬語で言った。

竜騎は相手が敬語にもかかわらず


「お前ら何俺を置いていこうとしたんだよ!!!」

とキレた。



その子は「ごめんなさい。でもこれ、新入生が来たときの恒例なんです。」


本気で反省している様子に竜騎は、


「まあ。いいか。で、お前はだれだ。なんでお前だけ消えなかった?」

竜騎がちょっと怒りが収まった様子で聞くと、

その子は、ハッとした様子に一瞬なり、その後

「明塚 光輝です……。なんで瞬間移動できなかったかといわれると、
恥ずかしいのですが…… 僕だけできないんです。」


光輝はちょっと落ち込みながらそう答えた。

竜騎は、ちょっと笑いそうになったが、こらえて

「そうか。俺はまだなにもできない。とりあえず部屋までつれてってくれ。」

そう竜騎が言うと光輝は顔を輝かせて

「はい! 是非!」

と言った。


ーーーー俺、なぜかわかんないけど、あいつと仲良くなりたい。---



竜騎はそう思い、光輝に、


「お前が俺より年下か年上かわかんねぇけど……ふ…普通にタメでいいから。」



竜騎がちょっとテレながら言うと、

光輝は、「ホントに……? やった! 俺にはじめてここでの友達ができた!」



と大喜びしはじめた。