「瑞樹。どこ行くんだ。」 背後で聞き覚えのある低い声がそう言った。 「へっ…って、結城さん…どうしたんですか?」 振り向くとメガネをかけた結城さんがいた。 くっ、やっぱメガネ似合いすぎててつらい。 「どうもこうもしてない。覚えてないのか。このあとのこと。」 結城さんにそう言われ、ハッとする。 この間結城さん、会いたい人物がいるから今日の演奏会のあと会いに行くって言ってたじゃないか。 「でもそれって今すぐなんですか?」 「あぁ、もう約束は取り付けてるからな。」