｢あれ？そういや、今日はいつもより遅いなぁ、ゆみのお父さん。｣
純希は思い出したように呟いた。
時計を見ると21時少し前を指していた。
ゆみの父親は超名門高校の先生で、帰りはいつも20時半をまわる。
｢あー、遅いねぇ？何か終わらない仕事とかあるのかなぁー？｣
ゆみはニコニコして答えた。
｢なぁ｣
純希は、ふと頭に思い浮かんだ疑問をゆみに問いかけてみた。
｢お前、いつも本読んだり俺と話したりして時間潰してるけど、飽きたり、しない訳？｣
するとゆみはキョトンとした顔で答えた。
｢え？うーん･･･。別に飽きたりはしてない、かな？純ちゃんから『そと』のお話沢山聞けるし･･･。本も面白いしね！｣
｢そっか･･･。｣
｢あ、でも｣
ゆみは急にモジモジしだした。
｢ん？｣
｢あの･･･と、友達が、欲しい･･･か、も？｣
｢え？｣
急なことに、純希の頭はついて行かなかった。
｢あ、あの、純ちゃんは幼馴染みだから、そのー･･･と、友達が欲しいん･･･だよね...｣
顔を真っ赤にしてボソボソとつぶやつゆみは、今にも消えてしまいそうだった。
｢あの俺･･･｣
純希が何かを言いかけた時、純希のスマホのバイブ音がなった。
･･･と同時に、純希の体もビクっとなった･･･気がした。