ゆみは、生まれつきFOPという体内の筋肉などが徐々に骨に変わっていってしまう、2百万人にひとりの難病にかかっている。その病気で、関節等の動かす範囲が狭くなり歩けなくなってしまったり、食欲が無い時が多かったりと、日常生活に支障をきたしてしまう為、学校には行っていない。
・・・そもそも家から出たことがない。

だからゆみは、家にいる時間・・・17年間も、独りで本を読んだり、(7歳の時に近所に引っ越してきて挨拶をしに来た時に知り合った)純希と、純希の学校が終わったら喋ったりしている。
本ばかり読んでいるので、もう家にある本は、題名を聞いただけで、内容を一言一句違わずに言える自信はあった。

「あ、そうだ。」
純希は鞄を漁り始めた。
「はい。」
そう言ってゆみに手渡したものは、今日買ってきたという、真新しい小説だった。
「きゃー!ありがとーー!ちゃんと友情のやつだァ!・・・ん?あれ?」
純希の狙い通り、ゆみはすぐ様本の異変に気がついたようだった。