「純希、おはよう!」
校門に1歩足を踏み入れるなり、クラスメイト富永麗奈(とみながれいな)が俺に声をかけてきた。
麗奈とは俺がこっちに越してきてからというもの、小中高と一緒でクラスも10年で3回しか離れたことがない。
だから俺にとっては何でも話せる良い女友達って感じだ。
そんな関係のお陰で、あまり人に話さずにいたゆみのことも、麗奈にだけは打ち明けることが出来た。
「ああ、おはよう。」
俺は挨拶を返した。
そこからは、昨日のテレビの話などをしながら一緒にクラスまで向かった。

そして教室に入った瞬間
「純希ー!今日遅かったじゃねーか!」
「富永さん、おはよう」
「麗奈ー!昨日さあ!」
などという言葉が重なって俺らの耳に届いた。
実を言うと、俺も麗奈もクラスのリーダー的存在で、結構人気がある。・・・多分。
だからこんな光景は日常茶飯事だった。