そして次の日、またしても純希はやって来た。
「おはよう!ゆみ!今から学校だから少ししか遊べないけど、話そう!」
「え?じゅ、純ちゃん!?早くない?」
ゆみに『純ちゃん』と言われたことに少し戸惑いながらも純希は答えた。
「昨日も言ったじゃん。ゆみ、つまんないでしょ?こんな俺でよければ、いつでも遊び相手になるよ。」
そして純希は優しく微笑んだ。
「えへへ、ありがとう。それでね、昨日この『しょうせつ』を読んでたんだけどね」
ゆみはそう言って『夜明け』という本を純希に見せて、
「これ、歌が元なんでしょ?お父さんのパソコンで聞かせてもらったけど、凄く良い歌だね!」
そう言って目をキラキラさせた。
「あー・・・、それ俺、難しくて途中で投げ出しちゃったんだよねー。ゆみ、1日で読み終わる何て、凄いな。」
「えへへ。結構ハマっちゃってね。あ、これ以外にも、『小説』にハマっちゃったんだけどね。」
ゆみがはにかみながらそう言った時、ゆみのお母さんが階下から
「純希くん。そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ、転校初日に遅刻はまずいよー!」
と純希に呼びかけたので、純希は
「はーい。有難うございます!ゆみ、また放課後来るよ!」
と言ってゆみの部屋を後にした。
その時のゆみの表情が変わったことに、純希は気づかなかった。