「……はぁっ!」

ようやく解放され、新鮮な空気を求めて肩で息をする。

「ふふっ。えなのくちびる、やわらかくてあまぁい……アタシ、えなとならだいじょーぶかも……」

真顔で言われて、もう訳が分からない。大丈夫って何が!?

「も、もう無理ーっ!」

私は目を白黒させながら、思い止まらせようと必死になる。

「……いいでしょ?」

そう言いながらワンピースの裾をたくし上げられ、雪ちゃんの手が私の太ももに這う。

「やっ!」

ビクッ!と体が震えた。

「ふっ……かわい……」

チュッと、軽くついばむ様なキス。その唇が、段々下へ移動して、胸の辺りで止まる。まさか、本気なのっ!?

「雪ちゃんお願いだからちょっと待ってーーっ!」

ギュッと目をつぶり、叫んだ瞬間、ドサッと音がして体が軽くなった。

シーン……と静まり返る。恐る恐る目を開けると、雪ちゃんが規則正しく寝息を立て、寝ていた。

…………………なんなのよ!!!

「もう!ビックリさせないでくださいよ!」

呑気な寝息にホントにちょっとイラっとして、雪ちゃんのオデコをピンッ!と弾いた。

「う~ん……」

と、弾かれたオデコをポリポリと掻きながら、目を覚ます様子もない。私は、安堵と少し残念な複雑な気持ちを込めて溜め息を吐いた。

「片付けて寝よ……」

雪ちゃんを起こさない様にソッと食器を片付け、部屋まで運べない雪ちゃんに毛布を掛けてリビングを後にする。