「ねぇ……キスしていい?」

上目使いでお願いされる。あ、可愛い…なんて考えていたら、雪ちゃんの顔が迫って来たので「わーっ!」と叫びながら掌でそれを阻止する。

「いやいや!駄目ですよ!何言ってるんですか!?」

私は首を力一杯振った。

「いいじゃない、ケチ~。へるもんじゃないんだからさぁ……」

「減ります!大体、雪ちゃんは男の人が好きなんでしょ!?私は女ですよ!」

そう!雪ちゃんが好きなのは男の人!

「私としたって、何にも面白くないですよ!」

かなりパニクってるから、私も訳の分からない事を言う。

「おとことかおんなとかカンケーないの!えなとしたいんだから!」

雪ちゃんは、私の頬を両手で挟み込み、無理矢理正面を向けさせた。

「雪ちゃ……」

「んー♡」

そのまま雪ちゃんの顔が近付く。

(わーーーっ!!)

強めの力で抑えられた私は、身動きが取れずギュッと目を瞑った。

「んっ!!」

唇が重ねられる。雪ちゃんの唇は、とても柔らかい。私の心臓は、今にも破裂するんじゃないか?と言う位脈を打っている。

「んーっ!!」

(ちちちち、ちょっとーーーっ!!し、舌ぐあぁぁぁぁっ!!!)

あろうことか、雪ちゃんはディープなキスを要求して来た。お酒で火照っているせいか、雪ちゃんの舌はとても熱い。

「んんっ……ふっ……」

空気を求め、わずかに開いた隙間から、私の声が漏れる。それも儘ならない位深くなって行く口づけに、段々息苦しくなって来た私は雪ちゃんの胸の辺りをドンドンと叩いた。