――で、今現在。


「だからゆっくり飲んで下さいって言ったのに……」

「ぜーんぜんよってませーん!」

「酔っぱらいはみんなそう言うんです」

私の膝でゴロゴロしている雪ちゃんを見て、溜め息を吐いた。

「こーらっ!ためいきをつくと、しあわせがにげるわよ!」

「はい、ごめんなさい」

こう言う場合は、何も言い返さずに素直に謝るのが一番。

「ん!よろしい!」

と、不意に手が伸びて来て、シュシュで縛っていた髪を解かれ、クシャクシャっと頭を撫でられた。

「わっ!」

「うふふ♡えなは、かみのけさらさらね」

そう言いながら、私の髪の毛を触る。

「ゆ、雪ちゃん……?」

「んー?」

生返事の雪ちゃんが、ウットリとした表情で私の髪を()いている。

(な、なんだ?急に甘い雰囲気が漂い始めたぞ……?)

暫く私の髪の毛を触っていた雪ちゃんが、急にガバッ!と起き上がり、振り向いた。

「ど、どうしました?」

「えな…どうしよう……」

目を潤ませ、四つん這いになりながらジリジリと私の方へ迫って来る。明らかに目が据わってる。

「雪ちゃん?……わっ!」

後ずさった私は、絨毯の境目に引っ掛かり、その場に倒れ込んだ。

「いたた……って、雪ちゃん!?」

雪ちゃんが、そのまま倒れ込んだ私の上にのし掛かって来た。

「ちょっ、雪ちゃん!!」

「えな……どうしよう。アタシ、ムラムラしてきちゃった……」

「……は?」

突然過ぎて、一瞬理解が出来なかった。