しかし、足下に散らばった写真の残像がいつまでも頭から消えない。

「……駄目だっ!もう寝よう!」

このままでは頭がおかしくなりそうだったので、無理矢理考えるのを止めた。基本、ウジウジ考えるのは好きじゃない。明日、考えよう!そして、寝て清々しい朝を迎えようじゃないか!

ザバッと勢いよくバスタブから上がり、体を拭いて雪ちゃんに借りたネグリジェに袖を通した。

「おぉ……」

思ったよりもフリフリで、少し顔が引きつる。

「こんなの着た事ないよ……」

布地質(きじしつ)はコットンで柔らかく、触り心地が良い。胸元には一面、レースが縫い付けてあって、(そで)もそのレース布地で出来ている様だ。アンダーバストの辺りで切り替えが入っていて、クルッと回ると、ひらんと(すそ)がなびく。

その下は、同じコットン布地で作られているカボチャパンツ。裾の所がキュッと絞まっていて、両端にちょこんと小さいリボンが付いていた。

まあ、百歩譲ってそれは良いとして……。

「足がめっちゃ出る」

寒くはないけど、なんだかスースーする。こんな短いの、穿()いた事がない。

鏡の前でクルクルと回っていると、

「江奈~?上がったの~?」

と言いながら、雪ちゃんがいきなり脱衣所に入って来た。

「わっ!?……あ、はい。ありがとうございました」

慌ててお辞儀をする。

でも雪ちゃん。返事を待たずに開けるのはどうかと思うよ?まあ、着替え終わっていたから良いけど。

(てか、クルクル回ってたの見られたかな?)

視線を感じて顔を上げると、雪ちゃんが上から下までじーっと私を見ていた。

「どうかしました……?」

「うん。やっぱり可愛いわね」

笑いながら、うんうんと大きく頷いている。

なぜか、満足気に。