あれ?最新のシステムキッチンに見惚れていたら、雪ちゃんがいない。

「雪ちゃーん……?」

すると、何かを持ってリビングへと戻って来た。

「コレ、タオルと着替え。アタシの趣味で悪いけど」

そう言って手渡されたのは、ピンクのひらひらネグリジェ。寝る時の格好までこんなに気を使うなんて、流石としか言いようがない。

「あり、がとうございます……」

「どういたしまして。もう遅いし、お風呂に入ってサッパリして来なさい」

「あ、はい。じゃあ、お風呂お借りします」

ペコッと頭を下げ、さっき案内されたバスルームへと向かった。

バスルーム。多分、平均よりも広い気がする。湯船もゆったり浸かれる位の大きさで、洗い場に至っては寝転がっても悠々余る位、広々空間。

「凄いなぁ……」

服を脱いで、シャワーで汚れをサッと洗い流し、チャポン……と湯船に浸かる。

「はぁ……」

気持ち良い。ボーッと天井を眺める。思い出したくないけど、嫌でも思い出してしまうあの写真。

パジャマ姿の私。洗濯物を干している私。友達とお茶をしている私。出社前・帰宅時の私。それはもう、色んな場面の私の写真。

ギュッと膝を抱える。

「なんで私がこんな目に……」

泣きそうになる。でも、必死で堪えた。泣いたら負けの様な気がして……。