「大丈夫?落ち着いた?」

「……はい」

ここは、雪ちゃんのマンション。

私のアパートは危険と判断され、連れて来られた。広いリビングに置かれている皮張りのソファーに座り、雪ちゃんが背中をポンポンと優しくさすってくれている。

「まさか、本当に盗撮してるだなんて……」

雪ちゃんの言葉に、ビクッと体が震えた。

私も、本気でこんな事をしているなんて思わなかった。ギュッと抱えた腕を握る。

「暫くはウチに居なさい。一人は危険だし、何かあった時にすぐに助けられるし」

「でも……」

確かに、雪ちゃんがそばにいてくれれば心強い。けど、それ以上に雪ちゃんに迷惑をかけたくなかった。

「でもじゃないわ。決定事項よ」

真剣な眼差しを向けられる。本当に心配してくれている事が、分かる。

「……じゃあ、暫くお世話になります」

私はまた、雪ちゃんに甘えさせてもらう事にした。

「よしっ!」

雪ちゃんが、大きくうなずく。

「とりあえず、対策は明日考えるとして、今日はもう休みなさい。部屋へ案内するわ」

スッと立ち上がり、手を差し出してくれる。その手を掴み、私も立ち上がった。

「バスルームはここね。部屋は、このゲストルームを使って頂戴」

案内されたバスルームやゲストルームは広く綺麗で、私のアパートとは大違い。これが格差か……。なんて思いながら見ていた。

「キッチンは好きに使ってもらって構わないから。冷蔵庫の中身も、好きにして」

「ありがとうございます」

キッチンも流石、綺麗で広かった。こんなキッチンで料理をしたら、楽しいんだろうな。