「江奈?降りないの?」

「へ?……あ、す、すみません!」

雪ちゃんはとっくに降りていて、身を屈めながらまだ中にいる私に言った。私は急いで降りて、部屋へと案内する。

「2階の端なんです」

カン…カン…と階段を登りながらあれ?と気が付いた。

いつもならこの階段を登っている最中にあの光が見えるんだけど、今日はそれがない。やっぱり、ただの勘違いだったんだろうか。

「どうぞ――」

鍵を開け、中へ案内する。

「へぇ。綺麗にしてるのね」

「あんまり見ないで下さい」

雪ちゃんが、もの珍しそうに部屋をグルグルと見渡す。

「女の子の部屋って感じね」

「そうですか?」

特にそうは思ってなかったけど、そうなのかな?置いてる物と言っても、ベッドとドレッサー位。ソファーとカーテンはピンクだけど。

「適当に座って下さい。今、お茶入れますね」

「ありがとう」

雪ちゃんは、そのピンクのソファーに腰を下ろした。