雪ちゃんの言う通り、ちょっと迂闊だったと反省していたら、

「そうだ。この後予定無いならどこかで夕飯食べて行かない?」

となんとも魅力的な提案をされた。

「え、いいんですか?」

「アタシが聞いてるのよ」

いきなり元気になった私に、雪ちゃんがフフッと笑う。

「はいっ!大丈夫です!」

ゲンキンな物で、「夕飯」と言う響きに、さっきまでのイライラや反省がどこかへ飛んで行ってしまった。

「どこに行こっか。なに食べたい?」

「なんでもいいです!」

「じゃあ……アタシの気分で良いかしら?」

「もちろんですっ!」

雪ちゃんが紹介してくれたお店はどこも美味しいから、安心して任せられる。

「ガッツリと、肉行きましょうか」

「お肉大好きです!」

「決まりね」

「はいっ!」

わーい。楽しみだなぁ。わくわくしながら外を眺める。街のネオンが車体に反射したのを見て、あれ?そー言えば…と、ふと疑問に思った。

「あの赤い車じゃないんですね?」

そうだ。デートの時は真っ赤なスポーツカーだったハズ。

「ああ、アレね。あの車じゃ目立つからね。普段はこっちの車よ」

「……なるほど。確かに、目を引きますね」

うん。この街中をあの車で走ったら、かなり目立ってしまう。て言うか、あの車で出勤なんてしたら、会社内がザワ付いてしまうだろう。

「普段は近くに住んでる兄貴の所に預かってもらってるの」

「あ、お兄さんに……」

雪ちゃんには、お兄さんがいたのか。