車で十分程走った海沿いに、小さなコテージが建っていた。

「着いたわよ」

雪ちゃんがそのコテージを指差す。よくよく見てみると、行列とまでは行かないが、四、五人が外へとはみ出して並んでいた。

「人気のお店ですか?」

「ええ。今日は大分空いてるわ。いつもならもっと並んでるんたけど」

「へぇ」

車を駐車場に停め、最後尾に並ぶ。お店をグルッと見渡すと、入り口の横に、『レストラン・オーシャン』と書かれた看板が立っていた。

「どんなお料理のお店なんですか?」

「基本は創作料理のお店よ。その日に獲れた新鮮な海の幸に合った料理を作ってくれるの」

「おぉっ!」

それはもの凄く楽しみじゃないか!

楽しみ過ぎて、顔がニヤける。

「アンタ、本当食べる事が好きなのね」

「はい、大好きです!あ、作る事も好きですよ!……ホラ」

私は自分で作った料理の写メを雪ちゃんに見せた。

「へ~、意外ね。ちゃんとしてるんじゃない」

「はい。ウチ、母親が料理上手で、『女たるもの、料理が出来て当たり前』が口癖なんです。少し古い考えだとは思うんですけど……。なので料理は小さい頃からやってました」

雪ちゃんが写メを食い入る様に見ている。

「雪ちゃんは、料理とかしないんですか?」

「一応するわよ。毎回外食じゃ飽きるもの。でも、ハナや江奈くらいはやらないわ」

「そうなんですか」

なんとなくのイメージなんだけど、何でもそつなくこなしているのかと思っていた。てか、名前を呼ばれる度に少しドキッとするの、止めたい……。

「お次の方、どうぞ~」

店員さんに呼ばれて、私達はお店の中に入る。