「さて。そろそろお昼ご飯食べに行きましょうか。近くに美味しいランチを出してくれるお店があるのよ」

「はい!」

少し鼻をすすりながら、返事をする。それを見て雪ちゃんが、フッと笑って出口へ向かう。

先を歩く雪ちゃんに置いてかれない様に一生懸命追いかけるも、結構な重量感のぬいぐるみに足を取られて、上手いこと距離感が掴めない。

見るに見かねた雪ちゃんが、「貸しなさい」とぬいぐるみを持ってくれた。

「ありがとうございます」

すれ違う人みんなが、雪ちゃんを見てヒソヒソ話をしている。

「すごーい!」
「おっきいイルカ!」
「すげー美人」
「え、あれめっちゃ高かったよ!?」

それを聞いて、私はなんとなく優越感に浸る。

雪ちゃんを見ると、迫力のある美人がでっかいイルカのぬいぐるみを持っている事がなんだかミスマッチで、私は心の中で小さく笑った。