「はぁ~。楽しかったですね、イルカショー」

私達は、濡れた服と髪の毛をハンカチでパタパタと拭いた。

「こんなに濡れるとは思わなかったわね」

「本当ですね」

ふふっと笑う。前がガラガラに空いていたから、特等席ですね、なんてはしゃいでいたんだけど、こうなるのが分かってたから皆はまあまあの距離から見ていたんだ。でも、楽しかった。

「とりあえず全部見て回ったわね」

「そう、ですね」

順路では、イルカショーの会場を出るとお土産コーナーがあり、その後は出口だけだった。お土産コーナーは、家族連れやカップルでワイワイと賑わっている。ざっと見渡すと、ここのメインなのか、イルカグッズが沢山並んでいた。

ウズウズしている私に気が付いたのか、「見て行く?」と雪ちゃんがクスクスと笑いながらお土産コーナーを指差す。

「はい!」

私は目を輝かせ、お土産コーナーに突進した。イルカショーのイルカ達が凄く可愛かったので、自分用に何か買って行こう、とウキウキする。

「わぁっ……」

大小様々な大きさの物が取り揃えてある。箸置きやお茶碗。ノート、シャープペン、ストラップ。などなど。

その中で一際光を放っていたのが、私の背丈(155cm)と変わらないんじゃなかろうか?と言う位大きいイルカのぬいぐるみ。

「ほわ~。すごーい……」

これ、欲しい。触り心地も弾力も可愛さも抜群で、ぬいぐるみ収集家の私としては手に入れたい代物だった。

「いくら位するんだろう……」

5千円位だったら……と、値札を見る。

一、十、百、千……。

「うっ……!」

さ、さんまんはっせんえん!?

え、さんまんはっせんえんって、あのさんまんはっせんえん!?何度値札を数え直しても、3万8千円だった。……撃沈。あっさりと予算オーバー。

「うーわっ、何その値段」

「え?……わぁっ!」

後ろからニュッと顔を出されて、ビックリした。