…………なんだろう、この空気。せっかくのお祝いの日なのに、なんだか重たい空気がさっきから流れている。その原因が今日の主役にあるって事は、私もハナちゃんも気付いていた。

何にも言わないで仏頂面でテレビを見ている雪ちゃん。何がそんなに気に食わないんだろう?

「雪ちゃ……」

言い掛けると、後ろから肩にポンッと手を置かれ、振り向くとハナちゃんは首を横に振って『やれやれ』みたいな顔をしていた。

「ハナちゃん?」

「江奈っち、アタシ帰るわ」

「え!?」

「雪ちゃん、お邪魔しました」

そう言ってハナちゃんはバッグを持って、さっさとリビングを出て行ってしまった。

「え?え?ちょ、ハナちゃん!?」

私は雪ちゃんと閉まり掛けるリビングのドアとを交互に見る。

雪ちゃんは、ツーンとした態度でハナちゃんを見送りもしない。

「……もうっ!」

私はハナちゃんを追い掛けた。