「雪ちゃん、退院&お誕生日、おめでとー!カンパーイ!!」

「カンパーイ!」

「……………」

私とハナちゃんは、ワインの入ったグラスをチンチンッ♪とぶつけた。今日は色々あって出来なかった雪ちゃんの誕生日と、退院のお祝いを兼ねたパーティー。

あの騒動のあと、私はその日に帰れたんだけど、雪ちゃんは結構傷が深くて2週間もの入院生活を送る事となった。あの時、平気な顔して私が目覚めた時に隣に居たのは、先生に無理言ってお願いしたらしい。

『江奈が目覚めた時にアタシがそばにいないとあの子死んじゃうわ!』

って。

まあ、雪ちゃんが言ってる事はあながち間違いでもなかったりするんだけど。

――で、その間に雪ちゃんの誕生日は過ぎちゃったんだけど、せっかく計画した事だからって、晴れて退院の今日、お祝いをする事になった。

「……ん~!美味しーっ♡ね、雪ちゃん、ハナちゃんが持って来てくれたこのワイン、すっごく美味しいよ!」

そう言って、まだ口を付けていない雪ちゃんに飲んでみる様、促す。

「そうでしょ~?このワイン、雪ちゃんのおめでたい日だからって、ワザワザ取り寄せたんだから~♡」

ハナちゃんが、うふふ♡と微笑む。

「さっすがハナちゃん!気が利くね!」

「……………」

雪ちゃんが、タンッ!とグラスをテーブルに置いた。

で、スタスタスタ……と、ソファーの方へ歩いて行く。そのままソファーに腰を下ろし、テレビを見始めてしまった。ブスっとした顔で、こちらに目もくれない。