そう思った瞬間、私の目から、ボトボトボトッ!と、大粒の涙が零れた。

「ちょ、江奈!?」

「……良かった……雪ちゃん、生きてた……!」

私は無意識に雪ちゃんに抱き付く。

「もう…駄目かと思った!ち、血がっ…雪ちゃん、しんじゃう、んじゃ…ないかってっ!」

嗚咽交じりに必死に雪ちゃんにしがみついた。もしこれが夢でも、消えてしまわない様に、絶対に離さない様に。

「バカね。そんな簡単に死なないわよ、アタシは」

フフフと笑いながら、私の背中を優しくさすってくれる。その手が暖かくて、本当に生きているんだ!と実感する。

それを皮切りに私の中で気持ちがブワッ!と高まってしまい、

「好き……!雪ちゃんが好き!大好き!!」

と半ば絶叫の様な告白をしてしまった。

気持ちを伝えたら雪ちゃんが困るかも知れない、なんて考えるより先に、口をついて出てしまった言葉。

「……え?」

予想通り、雪ちゃんは目を見開いて驚いた顔をしている。

でも、あの時感じた後悔。もう一生伝えられないかもしれない、と思った後悔はしたくなかった。エゴでもなんでもいい。もし迷惑がられたら、このまま離れて金輪際関わらないと言う覚悟もしている。

「江奈……それって、親愛とかじゃなく、恋愛感情なの……?」

私は黙って頷く。

「本気で?」

また黙ったまま頷いた。

「そう……奇遇ね。……実はアタシもなの」

優しく微笑む雪ちゃん。

その笑顔を見て、「ああ、私は優しくフラれたのか」と雪ちゃんの言葉を頭の中で反芻(はんすう)する。