そこには、ベッドに足を組んで腰掛けている雪ちゃんがいた。

「……ゆ、き…ちゃん……?」

恐る恐る尋ねる。

「うん」

「……本物……?」

「ええ」

「幽霊とかじゃなく……?」

「あのね。人の事、勝手に殺さないでくれる?」

雪ちゃんがため息交じりにフッと笑った。

「だ…だって……刺されて……血が…いっぱい……」

「ああ、コレ?」

着ていた病衣をペランと捲り、脇腹を見せる。そこにはグルグルと、何重にも包帯が巻かれていた。

「大した事はないわ。こんなの、すぐに治るわよ。ちょっと大袈裟なのよね、この包帯……」

包帯をつまみながら唇を尖らせて、ブツブツ文句を言っている。

私は手を伸ばし、よろよろと雪ちゃんに近寄った。

「江奈……?」

雪ちゃんの頬に、手を添える。温かい。

雪ちゃんは、生きてる。