なん、だ……なんだ!簡単な事だったんじゃないか!みんなを信じて正直に話せば、分かって貰えたんだ!

心の霧が、スーッと一気に晴れて行く感覚。

雪ちゃんがみんなに囲まれて、頑張って下さいね!とか、オネエでも好きです!とか、どさくさ紛れに告白されたりしている。涙目になりなが「ありがとう…ありがとう…」と何度も言っている雪ちゃんを見て、私も涙ぐんだ。

良かった。本当に良かった……!

「……んだ……ら……」

もうハッピーエンド感満載だった私たちを現実に引き戻す低い唸り声が聞こえ、ハッと振り向く。

笹木が頭を抱え、何かをぶつぶつ呟きながら体をブルブル震わせていた。忘れかけていたけど、こいつのやった事は犯罪。このまま丸く収まって大団円。とは行かなかった。

事の成り行きを見ていた周りの人達も、笹木を見て「ヤバくない?」とか「警察呼んだ方が良くねぇ?」と口々に言い始めた。

良かった良かった、と一緒に感動の場面を見ていた警備員さんがそれを聞いて、慌てて携帯電話を取り出す。多分、警察に通報しようとしたんだと思う。

しかし、

「なんなんだよお前らああああぁぁぁぁっ!!!」

と、髪を振り乱しながら突然発狂した笹木に呆気に取られ、警備員さん含め、私たちの動きが止まる。

「おま、お前らの仲良しごっこなんてみ、見に来たんじゃねぇんだよおおおおぉぉぉぉっ!」

子供の様に地団太を踏みながら、笹木は自分の頭をグシャグシャッ!と掻きむしった。