「うぅぅぅぅぅ~~~~~~~っ!!!」

アタシは唸りながらベッドに倒れ込んだ。

「やっちゃったわ……」

感情に任せて、強引に江奈にキスをしてしまった。

「だって、だって!ハナとばっかり仲良くするからっ!」

ムキーッ!と、力任せに枕を叩く。

最初は我慢してた。また長電話して……位にしか思ってなかったけど、アタシと話をする江奈と違って、あまりにも楽しそうに話をする声が聞こえて段々イライラして来ちゃって……。

「なによなによっ!ハナとはあんなに楽しそうに話しちゃってさっ!アタシと話をする時、あんなに大笑いなんてした事ないクセに!!」

腹が立つ!めちゃくちゃ腹が立つ!!

なんの罪もない枕を叩いて叩いて叩きまくった。

で、なんとか気が治まったらハタと気が付いた。

「明日、どんな顔して江奈に会おう……?」

前回同様、お酒のせいに出来れば悩まないけど(サイテーな事を言っているのは分かってる)、お酒を飲んでいなかった事を江奈も知っているから今回は「酔ってました」の言い訳が通用しない。

じゃあ、『なんであんな事をしたのか?』と聞かれたら、アタシはなんて答えれば良いんだろう?

「……もういっそ、告白しちゃう??」

いや、もし想いを告げて『気持ち悪い』って言われたら?

「一生立ち直れない気がするわ……」

でも、なんの意味もなくキスをするなんて、

「アタシ、それこそ変態じゃない?」

呟いて、なんて浅はかな事をしてしまったんだろう、と落ち込んだ。

後先なにも考えずに行動してしまうのは、ほんとに悪い癖だと今回ばかりは反省をする。

「でも、やっぱり江奈の唇は柔らかかったな……」

そっと自分の唇を触って江奈の感触を思い出す。

ゼロ距離で感じた江奈は小さく感じたし、お風呂上がりだったからかとてもいい匂いがした。

「……ああ、アタシってやっぱり変態だったんだわ」

思い出したら、また体が熱くなって来た。

「いいや、考えてもまとまりそうにないからもう寝よう……」

全然なんにも解決していないけど、こうなってしまうとその熱を持て余してしまって自分じゃどうにも出来ないから、もう寝ちゃう事にした。

「とりあえず、明日は早めに出勤しちゃおう……」

これまたサイテーな事を言ってる気がするけど、それしかないと無理やり納得して目を瞑る。



――翌日、そんな最低な事を考えて眠ったアタシに、天罰が下る。


まさかあんな事件が起こるなんて、予想もしていなかった……。