「ん……!」

数秒触れるだけの、優しいキス。

そっと唇が離され、何も言わずに雪ちゃんはそのまま部屋を出て行ってしまった。

バタンッ……とドアが閉められると同時に、私はズルズルとその場にへたり込んだ。

「……へ……?」

今のは、なに?私、なんでキスされたの?雪ちゃん、また酔ってた?

「……ううん。今日はお酒飲んでなかった」

じゃあ、なんで?

『アタシの苦しさ、思い知れば良いんだわ』

って、雪ちゃんは言っていた。

「どう言う意味よ……」

突然過ぎて、もう何がなんだか分からない。どう言う理由で、雪ちゃんは私にキスなんてしたのか。

――ただひとつ分かっている事は、今日もまた寝られない、と言う事だけだった。