【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有

車から下り、んーっと伸びをする。雪ちゃんを見ると、やっぱりボーッとしていた。

(……なんか、変)

サワサワっと風が吹く。雪ちゃんの黒髪ロングストレートがその風になびいた瞬間、私は「あっ!」と声を上げた。

「雪ちゃん!」

「……へ?」

その声に、雪ちゃんが我に返る。私は雪ちゃんに駆け寄り、ガバッと耳元に手を入れ、髪の毛をかき上げた。

「ちょ!江奈!?」

「やっぱり……」

今日ずっと……?

「な、何?!どうしたのよ江奈!」

さっきまでボーッとしていた雪ちゃんが、焦り始める。

「雪ちゃん。痣、隠れてないよ」

「……え?」

そう言われて雪ちゃんは、サイドミラーで確認する。

「あー……本当だ」

それだけ呟いて、さっさと歩き出した。

(え、それだけ!?)

女装をする時は、必ずファンデーションで隠すって言っていたのに。私は雪ちゃんを慌てて追い掛ける。

「大丈夫なの?」

「……まあ、大丈夫でしょ。ハナの所に行っただけだし」

エレベーターの扉が開き、乗り込む。

(本当かなぁ……)

トンッ…と壁にもたれかかる。