【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有

……いや。私を見ていない?目線が、若干私には合っていなかった。

(どこを見ているんだろう?)

なんて思っていたら急に、パッとハナちゃんの腕が離された。

「……江奈っち、またね」

「あ……はい」

ハナちゃんは笑っている。けど、その笑顔に少し違和感を感じた。

変に思ったけど、「ホラ、行った行った!」とハナちゃんに急かされて私は車に乗り込んだ。

「今日は本当にありがとうございました。また、ご飯食べに来ます」

窓を開け、ハナちゃんに再度お礼を言う。

「ええ、待ってるわよん♡」

ハナちゃんがいつも通りの笑顔で答えてくれて、ちょっとホッとした。

「……行くわよ」

「あ、うん。じゃあ、ハナちゃん」

私はペコッとお辞儀をして、窓を閉めた。

車がゆるりと動き出す。サイドミラーを見ると、ハナちゃんがまだ手を振ってくれていた。それを見て、フッと笑みが零れる。

「楽しかったね」

「ええ……」

「スコーンも美味しく出来たし。また作るね」

「ええ……」

「あ、今度は雪ちゃんの好きなチーズ味も作ろうかな?」

「ええ……」

「……雪ちゃん?」

「ええ……」

「おーい」

「ええ……」

どうしたんだろう?ボーッとして、それ以降家に着くまで、何を聞いても「ええ」としか反応してくれなかった。